一ノ関・平泉撮り鉄日記(中編) [撮り鉄日記(JR首都圏以外)]

11時36分、701系2連の普通1535Mがゆっくりと走りはじめた。701系は首都圏の209系の東北地方仕様車として製造された。今回乗った一ノ関~盛岡間を中心に運用される1000番台盛岡仕様車は一番最初に投入された秋田地区向けの0番台に続き、50系客車列車による普通列車を電車化するべく投入された。外観上の識別ポイントは0番台の赤紫系の帯色に対して、こちらは青紫系の帯色となっている点だ。


Touhoku Line701-05a.jpg

(平泉駅を発車する701系普通列車)



701系のオリジナルのVVVFサウンドは209系500番台と同じタイプが採用されていたが、近年になり更新工事が施工され、施工された車両のVVVFサウンドはE233系によく似たタイプとなっている。

一ノ関を出発しておよそ4分ほどで山ノ目に到着。一ノ関~盛岡間にあるうちの駅で3駅しかない「無人駅」のひとつだ(あとの2つは陸中折居と紫波中央)。停車中の車窓をみてびっくり!盛岡に向かって右側に道路をはさんで、桜の木がたくさん並んでいるではないか。東北本線の桜の名所といえば、船岡付近が有名だが、ここはその船岡の人気に隠れた穴場的なスポットかもしれない(そういえば、近くの地名が一関市桜木とか言ったけか)。来春にまた訪れる楽しみが増えたような気がする。桜並木と思われる並木道は山ノ目を出発した後もしばらく続く。

山ノ目からおよそ4分で今回の目的地である平泉に到着する。2面3線の停車場スタイルの構内配線で、下り線が駅舎本屋を兼ねた単式1面1線、上り線が待避線を備えた1面2線となっている。

駅舎もなかなか渋くて良いのだが、上りホームにある民芸風の待合室もなかなか渋い。今回の撮り鉄、小手試しにまずこの待合室を撮影してみることにした。


Hiraizumi Station-02a.jpg

(民芸調で渋いつくりの上りホーム待合室)



関東近郊でもこれほど渋いつくりの待合室はそうそう見つからない。自分の記憶の中では、中央東線の石和温泉駅の上りホームにある待合室ぐらいしか思い出せない・・・。

改札を出て、撮影に必要のないものは、コインロッカーに預け入れ、さっそく撮り鉄行動に入る。平泉を出た東北本線の線路は中尊寺がある関山(かんざん)付近から田んぼの中を高台に築いた軌道上を走るため、撮影ポイントは中尊寺の手前までということになる。事前に地図で調べたところ、平泉から中尊寺付近にかけては踏切が2か所あることが判明していた。まずはそのうちの1か所で撮影をする。


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(平泉駅を高速で通過し青森に向かうEH500牽引の高速貨物列車)



東北本線はほぼ終日にわたり普通列車が上下ともに1時間ヘッドという本線とは程遠いのどかな路線だが、合間に貨物列車が多数運転されており、退屈することがない。この列車を撮影して数分後に今度は青森方面から別の高速貨物列車がやってきた。


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(おそらく根岸に向かうとみられるEH500牽引の石油高速貨物列車)



石油輸送列車はつい数年前までは、タンク貨車が高速対応となっていないため、高速化と無縁であったが、数年前からコキ100系列をベースとしたタンク貨車・タキ1000が某大手石油メーカーの私有貨車として製造されてからは石油輸送列車も高速化されるようになった。その一方で、国鉄時代からの生え抜きであるタキ43000が経年劣化で逐次廃車されているという事実もあるが。この列車はおそらく東青森で原資である石油を積み込み、根岸線の根岸まで向かう列車であると推測できる。


JRF EH500-06a.jpg

(北海道からの直通と思われる高速貨物列車)



先ほどの石油高速貨物列車が通過したあと、数分おいてまた高速貨物列車がやってきた。最後尾のコキには反射板ではなく、ちゃんとしたカンテラ型の標識灯がつけられていたので(反射板では青函トンネルの通過が不可なため)、北海道から直通の高速貨物列車と思われる。ちなみにこの高速貨物列車を牽引しているEH500は、初期の量産機で、黒をアクセントカラーに用いているため、顔つきがややごつい(石油高速貨物列車を牽引している方は後期の量産機)。

ところで東北本線の普通列車は、その大半が電車での運転であるが、1日に上下1本ずつ、変わった形態の列車が運転される。


Touhoku Line DC100-01a.jpg

(平泉駅に向かう普通1736D列車。キハ100形による4両編成の列車だ)



Touhoku Line DC100-02a.jpg

(1736D列車を後追いで撮影する)



この列車は、北上線での運用を終えて、一ノ関機関区(運輸区)へ入庫するための列車なのだが、時間帯がちょうど下校時間帯と重なることもあるのか、北上から一ノ関まで営業列車として運転されているようだ。

この列車を撮影し終えたところで、ちょうどおなかが空いてきた。時刻表上ではこの1736D列車の約1時間後に上りの“ジパング平泉号”がやってくるので、ここで小休止することに。


平泉駅前から伸びる中尊寺の参詣道上には飲食店が結構あるので、食事には不自由しない。

「ばっとう汁」という青森の「せんべい汁」によく似た汁ものとそばを食べて、ふたたび先ほどの撮影ポイントへと向かう。待つこと十数分でお目当ての列車がやってきた。


Touhoku Line485“Jipangu Hiraizumi”-01a.jpg

(平泉駅に向かう485系快速“ジパング平泉”号)



この列車は、かつて高崎地区にいた485系のお座敷列車「やまなみ編成」と「せせらぎ編成」のうち、「せせらぎ編成」がリニューアルされるのに伴い(現在の「やまどり」編成)、中間車を「せせらぎ編成」のリニューアルで抜き取られ、先頭車だけが残された「やまなみ編成」に青森運転所の“白鳥”運用から外された、485系3000番台のMM’ユニットを間に挟み込んだ凸凹編成のジョイフルトレインで、おそらくこの“ジパング平泉”の運用終了後、廃車・解体を前提としているのだろうか、塗装の変更以外、あまり手は加えられていないようだった。




この列車の撮影を終えたところで、撮影行動は、再度小休止にして、せっかくなので、中尊寺へと向かう。この撮影ポイントから中尊寺まではゆっくり歩いても30分足らずでいける。約1時間ほど、中尊寺で休んだ後、再び先ほどの撮影ポイントに戻り、本日最後の下り“ジパング平泉”号を撮るつもりでいたのだが、中尊寺を出て、先ほどのポイントに戻る途中で、踏切を発見!地図では踏切なのか、アンダーパスなのかよくわからないところだったところだ。迷うことなく、“ジパング平泉”号はここで狙うことにする。“ジパング平泉号”の前に下りの普通列車も来るので、こちらも併せて狙うことにする。

そしてやってきた普通列車はというと・・・


Touhoku Line701-06a.jpg

(仙台地区用の701系1000番台でやってきた普通列車)



正面の行先表示がLEDだったので、これはもしかしてと期待したら・・・何が悲しくてここへ来てまで仙台地区用の701系を撮らねばならないのだろうか。せめてIGRいわて銀河鉄道の車両で来てほしかったなぁ・・・[あせあせ(飛び散る汗)]

そして、15時40分過ぎ、踏切が鳴り始めた。“ジパング平泉号”の通過時刻だ。対向列車と被らないことを願いながら、慎重にカメラを構える。


Touhoku Line485“Jipangu Hiraizumi”-02a.jpg

(夕暮れ間近の中尊寺付近を通過する“ジパング平泉”号。編成美がまったくないのが気になるところだ)


この撮影をもってこの日の撮り鉄は終了。平泉駅まで歩くつもりでいたのだが、途中で何やらバス停らしきものを発見する。はて、バスは国道を走っているはずなのだが??・・・疑念をもちつつ近づいてみると・・・

Hiraizumi Loop-line bus-Stop01.jpg

(高舘義経堂前という名前のバス停。このバス停は平泉の町を循環するコミュニティバスの停留所だった)



そのバス停の正体は平泉の町を循環して走るコミュニティバス「るんるんバス」の停留所だった。平泉町が補助金を出して、岩手県交通が運営するバスだ。平泉駅から毛越寺→悠久の湯→中尊寺などを経て平泉駅前に戻るという運行スタイルだ。専用車が用意されているが、点検などで入庫しているときは一般路線車で代用される。

時刻表を見ると、10分ほどで来ることがわかったので、見聞を拡げるべく乗ってみることにした。平泉駅まではおよそ10分の所要時間だ。


Hiraizumi Loop-line bus-01.jpg

(平泉循環バス“るんるん”専用車)



乗車料金は140円均一となっているので、車内の運賃表示機のところにはモニターが設置され、停車する停留所を映像で簡単に紹介している。

約10分で平泉駅に到着。ここから16時27分発の普通列車で一ノ関に向かい、今宵お世話になる宿へと向かった。


(中編はこれにて終わり、後編につづく)



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