一ノ関(有壁)・雫石撮り鉄日記(前編) [撮り鉄日記(JR首都圏以外)]

6月25日から26日にかけて、休みを取り、昨年他界した母方の伯父の墓参りに行ってきた。その前後の時間を利用して、母の実家がある岩手県一関市と秋田新幹線の最初の停車駅である雫石まで行って、撮り鉄を敢行した。

まずは出発前に東京駅で撮ったこの1枚から。


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(東京駅に入ってきたE5系+E3系による、“やまびこ215号”。E2系が東北新幹線から撤退するのも時間の問題…という暗示に思える)



“やまびこ215号”を撮った後は急いで階段を昇り降りし、そのあとに出発する“はやて107号”に乗り込む。この“はやて107号”はE2系で運転されており、途中、宇都宮で先に出発した“やまびこ215号”を追い越す。E2系がE5系を追い越すというちょっとした珍光景が見られるのだが、来る9月28日に東北・上越新幹線でダイヤ改正が予定されており、この珍現象が見られるのはそこまでかもしれない。




ところで、一ノ関へは伯父の墓参りをした後、ホテルに戻るまでの間のわずかな時間を利用して、子供の頃から一度行ってみたいと思っていたところがあり、今回やっとの思いで行くことができた。そして雫石にはE3系“こまち”とその後継であるE6系“スーパーこまち”を撮るべく行った。説明はこのぐらいにしておいて、まずは先に撮った一ノ関~有壁間で撮った写真から・・・。


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(一ノ関から有壁に向かう、E721系仙台行き普通列車)



E721系は常磐線・水戸線で活躍するE531系をベースとしたローカル列車専用車両だ。位置付け的には701系の後継車というところで、いずれは黒磯~一ノ関~盛岡間用のローカル列車の主力となるだろう。現状としてはまだまだ701系の方が主力だ。つづいてこちらの写真を・・・。


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(有壁から一ノ関に向かうE721系による一ノ関行き普通列車)



この撮影ポイントにはちょっとした特色がある。それは、複線区間であるにも関わらず上下線の間隔が最大で80m近く離れているということ。何らかの事情があるのだろうが、そこは謎のままだ。そのためこの地点に「要害踏切」という踏切があるのだが、上り線用と下り線用で別々に設置されている。この上下線が大きく開いたところを上手く利用した写真が次にアップする写真だ。


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(EH500牽引による、北海道方面行きの高速貨物列車。上り線用の要害踏切付近から撮影)



この撮影ポイントへのアクセスだが、ちょっとした勇気がいる・・・。付近にあるバス停の名前が引っ掛かるところなのだ。そのバス停の名前はひらがなで書くと「おにしがい」。何気ないと思われるだろうが、これを漢字で表記すると下記のような恐ろしい表記となる。



鬼 死 骸



なんとも背筋に冷たいものが走りそうな名前のバス停だ。ただこのバス停には平日限定で1日2回しかバスが停まらない。というわけで、ここへの簡単なアクセス方法はタクシーしかないのだが、そのタクシーでも運転手に「鬼死骸バス停付近まで」と告げないとなかなか行ってもらえない。無難に行きたいのであれば、一ノ関駅前から岩手県交通の一関営業所経由のバスに乗り、一関営業所で下車し、30分ほど歩いていくとたどり着くことが出来る。

この日は予定通りに写真を撮ったところで、岩手県交通の一関営業所まで歩いていき、そこからバスで一ノ関駅まで行き、ホテルに向かった。



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“鎌倉あじさい号”撮り鉄日記 [撮り鉄日記(JR首都圏)]

ご無沙汰しております。

ようやくブログを更新できる余裕が出来たので、Twitterでもお知らせしました通り、先日の“鎌倉あじさい号”の撮り鉄日記をアップしようと思います。





6月22日(土)、青梅線・南武線経由で運転される臨時列車“鎌倉あじさい号”をマイ定番ポイントである南武線・谷保~西府間の本宿原踏切にて撮影した。





現地には“鎌倉あじさい号”が通過する15分ほど前に到着。ウォーミングアップが十分にできない状態での撮影本番を迎えることに。今回は珍しく、先客さまが来ていたので、まずは挨拶を交わす。これはお互いが気持ちよく撮影できるためにも忘れてはならない礼儀だ。

十分なウォーミングアップができない状態のなか、本命の列車が来るまでに撮れたのはこの1枚だけ。


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(本宿原踏切ですれ違う205系。このタイミングでの並びは狙えそうで狙えないものだ)



この後に、本命の“鎌倉あじさい号”がやってくる。


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(OM101編成で運転された“鎌倉あじさい号”)


正面のヘッドマークが「快速」だけというのは何とも味気がなさすぎだ。せっかく183系で運転しているのだから、もう少し手の込んだヘッドマークがあっても良かったのではないのかと思う。ただの快速表示であれば、E231系小山車の方が彩的にも映えていたのではないかな。

そして成果の方はというと・・・、思っていたよりも速いスピードで通過していったので、シャッターを切るチャンスを誤ってしまい、ご覧のような不様な出来に・・・。それを悔やんでいると、一緒にいた方から思わぬラッキーな情報が・・・!

「きょうはこの後、もう一本、183系を使用した臨時列車が通過する予定ですよ」

おー、これはこれは!205系の各駅停車を1本やり過ごした後に、その臨時列車がやってきた。


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(OM103編成でやってきた臨時列車。時期的に小学校か中学校の集約臨か?)



今度はうまく撮れた。もっとも、先ほどの“鎌倉あじさい号”に比べるとかなりゆっくりとしたスピードで通過していったということにも救われたのもあるが・・・。

この列車を撮り終えたところで、一緒にいた方ともお別れし、私は西府方の切り通しの方を目指していく。まずはこの電車から・・・。


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(209系2200番台による普通・川崎行き)



この日の209系は2200番台のナハ54編成のみの稼働だったようだ。続いては現在の南武線の主である205系を・・・。


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(生え抜き編成であるナハ13編成による、普通・川崎行き)



そして、最後に快速電車を。前回撮影時とはちょっと違うアングルで狙ってみた。


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(山手線からの転属組であるナハ40編成による、快速・川崎行き。201系からの流れを汲む客用扉の小窓が特徴だ)



当分は205系と209系で安泰かと思われていた南武線だが、昨日7月2日にJR東日本からE233系投入が正式にアナウンスされた。詳細はTwitterでリツイートしているが、E233系は6両編成×35本が投入され、205系は完全に置き換えられる模様だ。投入は2014年度と発表されているが、最初の編成が投入されるのはいつごろになるのか?気になるところだ。





そして今回のメインターゲットだった“鎌倉あじさい号”も来年以降運転されたとしても、183系で運転されるかどうかはかなり微妙なところだ。列車としては来年以降も運転が継続されることを願いたい。

山手線撮り鉄日記 [撮り鉄日記(JR首都圏)]

最近の山手線といえば・・・103系電車をイメージした「黄緑6号」のカラーフィルムを貼り付けた「みどりの山手線」で話題になっているが、もう一つ、話題になっているのがホームドアの設置だ。





恵比寿駅と目黒駅に試験的に設置されたのを皮切りに旅客流動の影響などを考慮した結果、本格的な設置が決まり、2011年末までに6扉車両・サハE230-500を編成から外し、設置工事が本格的に始まった。

現在では、恵比寿駅・目黒駅の他に、池袋駅の主本線側と大崎駅の主本線側にも設置され稼働している。そして間もなく大塚駅でも稼働予定とのことだ。


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(池袋駅に到着した内回り電車。いまではこのアングルでの写真撮影は不可能となっている)


ホームドアの設置が進むと山手線の電車を駅で撮影するのは極めて困難となる。最初にアップした池袋駅ではもうすでにホームドアの設置が終わり、稼働している状態なので、もうこの角度での撮影は不可能である。ちなみにこれは一昨年の今頃に撮影したもので、東日本大震災の騒動が少しだけ落ち着いていたのだが、電力不足による節電などの不安要素の方がまだまだ大きかった。

山手線は現在こそ平日・土曜・日祝日もほぼ終日にわたり3分前後の運転間隔となっているが、この写真を撮影したころは平日のデータイム(10時ごろ~15時30分ごろ)と土曜・日祝日の終日で4分~5分間隔のいわゆる「節電ダイヤ」で運転されていた。


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(池袋駅を出発する内回り電車。現在はホームドアが設置されているため、電車の下半分は見えない)


ホームドアの全駅設置までにはまだ5~6年かかる予定だが、ホームドアが設置されると撮れなくなるアングルでの写真を撮っておこうといつも思っていたのだが、先日、どうにかその時間を捻出することができたので、撮影を敢行することに。

定期券が東京駅まであるので、とりあえず東京駅までいき、ここから外回り電車に乗り、撮影ポイントを探し出してみることに・・・。そうすると、浜松町駅で、もう一つの“話題”に遭遇。


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(浜松町駅に進入する東トウ545編成による、“みどりの山手線”)


“みどりの山手線”とは、山手線で就役し、「山手線といえば黄緑の電車」というイメージを広く焼き付けた、103系電車が今年で誕生から50周年を迎えるのを機に当時の103系電車が纏っていた「黄緑6号」のカラーフィルムをE231系電車1編成(トウ545編成)にラッピングし、昭和50年代の山手線を再現しましょう・・・というコンセプトのもとで誕生したもので、2009年ごろに運転された103系電車よりも前に活躍していたモハ73系をイメージした「ぶどう色2号」のカラーフィルムをラッピングした「リバイバルシリーズ」の続編として企画されたものだ。なお、103系電車はJR東日本からは惜しくも全車両が引退してしまったが、JR西日本では大和路線・奈良線といった幹線クラスの路線でまだまだ活躍している。


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(浜松町駅に進入する内回り電車)



この写真はホームの先端部付近から撮影したものだが、ホームドアが設置されると、このアングルでの写真撮影はかなり難しくなる。というよりも駅撮りそのものが不可能になるだろう。
ホームドアが設置される前の山手線の撮影はいまのうちに・・・。


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(山手線の電車が来る間に撮った京浜東北線のE233系。ホームドアが設置されても撮影は可能であると思うが、やはり相当の制限はあるものと考えられる)

指扇・西大宮撮り鉄日記 [撮り鉄日記(JR首都圏)]

【お知らせ】 Twitterを始めました。アカウントは[@happiness_1972] です。よろしくお願いいたします。




今年は大きな事故もなく、無事に大型連休が終わった。連休中に取れた休暇は溜まった疲れを落とすべく、自宅でバタンキューしていた。そして、連休が終わった5月9日、撮り鉄を敢行した。Twitterで先行してお知らせしているが、今回のターゲットは川越線の別名・大宮口と呼ばれる埼京線・りんかい線車両のみで運転される東部分の方だ。

目的はE233系によって、世代交代が間もなく始まる205系だ。川越線へは拝島駅から八高線経由で行くのが断然近いので、往路も復路もこのルートで行くことにした。拝島駅に着くと、八高線は出発した直後で、次の電車まではおよそ25分ほど待つことに・・・。待ってる間に、5番線脇の留置線で待機していたこの電車の撮影からこの日の撮り鉄はスタート!


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(拝島駅5番線脇の留置線で待機中の209系3100番台。拝島17時52分発の1770E列車から始まる運用までお昼寝)



この電車を撮った後は待合室で電車を待つ。先に5番線に12時50分発の上り1174E列車が入線、そのあと4番線に12時53分発の下り1261E列車が入線する。八高線は八王子~高麗川間の電化開業時に将来の増発を見越してなのか北八王子駅にも行き違い設備を設け、八王子~高麗川間ではすべての駅で行き違いが可能となっているが、日中は原則として北八王子・拝島・金子の3駅で上下列車の交換が行われる。

1174E、1261E列車ともに205系3000番台で、拝島駅を後にする。1261E列車は出発してすぐに青梅線・五日市線と別れると猛スピードで住宅地と茶畑の中を疾走し、川越駅を目指す。そして約50分後に川越駅に到着。川越駅では8分待ちで埼京線・りんかい線直通の1304F列車に接続。この電車に乗って、最初の目的地である指扇駅に向かう。指扇駅は橋上駅舎工事が施工されており、足場があまり良くなかった。


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(指扇駅に到着した上り1406F・新木場行き)



下り列車も撮ったが、ややピンボケ気味だったので、ここでのアップは割愛させていただきます。1406F列車を撮った後は一度駅を出て、遅めの昼食を済ませる。昼食を済ませた後は駅に戻らずに、線路沿いに走る道路を西大宮駅方向に進み、踏切からの撮影を試みる。そんな考えで撮れたのがこの一枚だ。



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(指扇第十一踏切にさしかかる、上り1456F・新木場行き)



指扇第十一踏切とはJRにしてはものすごくわかりやすい踏切の名称だ。西大宮駅開業前の日進駅から数えて十一番目の踏切ということだろうか。川越線の撮影名所といえば、指扇~南古谷間にある荒川橋梁が最も有名だが、その荒川橋梁も絵になる上流側に防風柵が設置されてしまい、最近では鉄道関係の雑誌でもあまり紹介されなくなった。それはそれで仕方がないことだが、川越線の撮影名所は荒川橋梁だけではないということはこの写真が証明してくれたようだ。切り通しの中を走り抜ける電車もいいものだ。何よりも警報機や検知器など撮影の障害になるものが写らないのが素晴らしい。

この写真を撮った後は指扇第十、第九踏切とカメラを構えてみるが、どれも苦しい出来だった。
指扇第十一踏切での写真を撮り終えたところでTwitterでは先にお知らせしているが、近所の小学生の男の子に声を掛けられ、埼京線に投入されるE233系(7000番台)について、貴重な情報を頂いた。




・E233系(7000番台)は6月頃から営業運転を開始する予定。
・9月には50%の車両が205系からE233系(7000番台)に置き換えられる予定。
・来年の早い時期に100%、E233系(7000番台)への置き換えが完了するとのこと。



地元ではJRからの発表よりも先にE233系(7000番台)について、熱い情報交換が交わされているようだ。103系から205系へ置き換えた際には約3年かかっていたのを知っていたので、今回もこのくらいのペースで置き換えが進行するものだろうと思っていたのだが、その見通しは大甘だったようだ。この情報が本当であれば埼京線の205系は今年がラストイヤーということになる。りんかい線の海底トンネルによる塩害劣化がかなり進行しているということだろうか。

締めは西大宮駅で上下列車をとることにした。


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(西大宮駅に進入するりんかい線70-000系による、上り1584F・新木場行き)



りんかい線70-000系は言わずと知れた、209系0番台をベースとした車両。したがって車体幅も205系とほぼ同一なのだが、E233系(7000番台)が営業開始し、置き換えが完了するとこの車両の行く末も安泰とは言い難くなる。205系よりも幅広の車体を採用することで、1両あたりの旅客定員を205系よりも8人増としているE233系とりんかい線70-000系との間でサービスレベルに微妙ではあるが格差が生じてしまう。りんかい線側もE233系と同型車両を製造するのだろうか?今後が気になるところだ。


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(西大宮駅に進入する、1508K・新宿行き)



埼京線の各駅停車は日中時間帯は大宮折り返しが基本だが、朝夕のラッシュ時間帯は川越線にも直通させることで、埼京線内快速通過駅と川越線内各駅相互間を乗り換えなしで行けるようになっている。写真の1508K列車は「東京時刻表」で調べると、川越車両センターから出庫し、指扇駅からの営業となっている。川越車両センターの最寄駅は南古谷駅だが、列車運用の便宜を図るため、指扇駅からでもダイレクトに入出庫できるようになっている。


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(西大宮駅に進入する、下り1523F・川越行き)



西大宮駅が開業する前の川越線・大宮口を走る列車は指扇駅での交換が原則となっていたが、現在ではこの西大宮駅と南古谷駅での交換が原則となっているようだ。大宮~日進間の複線区間が有効に活用されていないのが少し勿体ないような気がする。この列車の撮影をもって、この日の撮り鉄は一応終了。下りホームに移動し、1523F列車に乗って、川越駅に向かい、1667H列車に乗り換えて帰路に着く。1667H列車は高麗川行きで、高麗川から八王子行きに接続するものと思っていたのだが、八王子行きはしばらく来ないことが判明。途中の的場駅ですれ違った1676H~1777H列車が直近の八王子行きだったようだ。結果的に25分近く来ないことが判明したので、暇つぶしに高麗川駅でも撮影し締めくくりとすることにした。


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(高麗川駅で出発待ちの八高線から直通列車である1674H・川越行き)


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(高麗川駅を出発し、川越に向かう1674H・川越行き)



今度は南古谷駅近くの水田の中を走る埼京線205系を撮ってみたいと思う。



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谷保撮り鉄日記 [撮り鉄日記(JR首都圏)]

谷保を撮り鉄で訪れるのは、西府駅が開業した年とその翌年の1月に運転された臨時特急“リゾート踊り子~黒船電車”以来だ。そこから計算すると今回はおよそ3~4年ぶりの再訪ということになる。





今回の目的は2011年の登場以来、まだ一度もその姿を撮っていなかった快速電車と来月運転される臨時列車“鎌倉あじさい号”を撮るための撮影ポイントを谷保駅付近を中心に予習することであった。特に後者の方は南武線には滅多に入線する機会がない183系特急型車両で運転されるということもあり、貴重な一枚をしっかりと撮るための予習は不可欠だ。





自宅最寄りの拝島駅から青梅線で立川駅に向かい、ここで南武線に乗り換えて谷保駅に向かう。立川駅から川崎行きに乗って7分ほど、3駅目が谷保駅だ。
谷保といえば、私にとっては定番の撮影ポイントがあるのだが、今回は予習も兼ねているので、そこだけにこだわらずに少し視野を広げてみることにした。まずは、下りホームに移動して、立川方に向けてカメラを構えてみる。

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(谷保駅に進入する、205系川崎行き快速電車)



まずまずの出来だ。快速電車は15時台までの運転で、立川発はこの電車を除くとあと3本。おおむね30分間隔で運転しているので、移動時間を上手く使えば、残りの快速電車はすべて違うポイントでの撮影が可能だ。というわけで、それを目指し、改札を出る。まずは国立市役所に近いところで撮影ポイントを探す。7~8分ほど歩いたところにある「第二坂下踏切」で落ち着き、この踏切の下り線側から立川方に向けてカメラを構えてみる。


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(矢川駅から谷保駅に向かって疾走する209系2200番台)



架線柱が少し邪魔気味だが、これもまあまあの出来だったので、次の快速電車はここで撮影することに決めた。


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(谷保駅に向けて疾走する川崎行き上り快速電車)



この電車を撮影した後は、踏切を渡り、上り線側から立川行きの電車を撮ってみる。


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(サハ205改造のクハ205-1200を先頭とした立川行き下り電車)



これも線路際の柵が邪魔のような気もするが、それほど気になるほどでもない。この後、いよいよ前述した定番の撮影ポイントに向かう。次の快速電車はどうやらこの定番ポイントで撮影できそうだ。


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(本宿原踏切を通過する南武線209系ナハ32編成。新製時から南武線に配属されている生え抜き編成だ)



ここが私の定番撮影ポイントだ。谷保駅から西府駅に向かって徒歩10分ほど。立川方の大きなカーブが魅力的な撮影ポイントだ。立川方に向けてカメラを構えるとこんな感じで撮ることができる。ここでは嬉しいことに209系が2本続けてやってきた。


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(本宿原踏切を通過する209系2200番台による川崎行き)



南武線の209系は全部で4編成あり、先にアップしたナハ32編成は新製時より南武線に配属されている生え抜きだが、残り3編成は京浜東北線からの転属編成だ。京浜東北線から転属されてきた編成は、行先表示がLEDとなり、モーターもE233系と同一のものに換装され、車番も0番台から2200番台に変更となった。ナハ32編成は2200番台登場後も、オリジナルスタイルを保っていたが、久々に見ると、行先表示がLEDとなっていたので、もしかすると2200番台化された可能性がある。

209系の各停が続いた後は快速電車だ。前後の流れから推測すると205系であることは間違いないが、オリジナルマスク編成か改造マスク編成か?気になるところだ。


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(205系オリジナルマスク編成による、快速川崎行き)



やってきたのはオリジナルマスク編成だった。この次の快速がこの日最後の快速となる。ここまで、順調に撮影ポイントを変えて撮影することに成功しているので、最後はここからさらに西府方に歩き、切り通しからの撮影に挑んでみることに。まずは西府方に向けてカメラを構える。


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(西府駅から谷保駅に向かうクハ205-1200が先頭の立川行き下り電車)



大体こんな感じだが、余計なところをトリミングして、車両を強調するとこんな感じになる。


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そして時間はあっという間に経ち、本日最後の快速電車が通過する時刻に近づいた。最後の快速電車は前後の流れから推測すると205系オリジナルマスク編成の可能性が高い。カメラを谷保駅方に向けて構え、慎重にシャッターチャンスを見極める。


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(本日最後の川崎行き快速電車は205系のオリジナルマスク編成だった)



これにて、本日の撮り鉄は無事に終了。来月運転される“鎌倉あじさい号”は第二坂下踏切か、我が定番ポイントの本宿原踏切で狙うのがベストということもわかった。何よりも一番よかったのは快速電車をすべて違うポイントで撮影できたことだ。滞在時間が短い割には機動的な動きができたことは今回の収穫だった。


★★★おことわり★★★



今回アップした写真は南武線205系・209系の独特の帯色をより強調したいという筆者の意図で、アップする前にパソコンで色彩を調節してあります。したがって実際には順光下で撮影してもこれほど鮮明にはなりません。
・鮮明に映らないからといって、フラッシュをつけての撮影は絶対にしないでください。運転士が信号を見落としてしまう原因になり、事故につながる恐れがあります。
・一部の写真では車両そのものをより強調させるために予めトリミングしてからアップしています。どういう絵を描きたいか予習しておき、現地では柵から身を乗り出したり、踏切の遮断機の内側に入るなどの危険な撮影は絶対にしないでください。
・柵などの邪魔だなと思うものは、撮影後にパソコンでトリミング修正する習慣をつけましょう。

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いすみ鉄道撮り鉄日記(5)~撮り鉄佳境編 [撮り鉄日記(首都圏私鉄)]

いすみ鉄道の撮り鉄日記はこれが最終列車となります。もうしばらくお付き合いくださいませ[あせあせ(飛び散る汗)]




さて、下り普通63Dを撮り終えたところで、時計の針は13時30分を回っていた。次の列車は約1時間後、上り普通64D・大原行き、そして先ほど撮りこぼしてしまった急行104D“急行2号”の折り返しである、下り急行105D“急行3号”と続く。小腹も空いてきたので、ここらへんで昼食とする。小谷松駅方面に勝浦街道を歩いていくと小さな食堂兼雑貨屋があり、そこで食事を済ませる段取りでいたのだが、食堂はどういうわけか材料が底をついてしまったとのことで、営業終了となっていた。背に腹は替えられないので、コッペパンを2つ買って、上り普通64Dを待っている間に食べることにした。学校給食でコッペパンが当たり前のように出た私の世代ではこれだけでも十分なご馳走だ[ぴかぴか(新しい)]





この後の列車は、先ほどの列車を撮影した場所とはまた違う場所から撮影することに。

小谷松駅に最も近い「第二山下踏切」近くの空き地から撮影することに。まずは上り普通64Dを後追いで撮ってみた。


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(小谷松駅に向かう上り普通64D・大原行き)



あと0.01秒シャッターを切るのが遅ければ、ぴったり真ん中に車両が入っていたかも知れない。だがこれでも十分な出来だ。そしてこの数分後、この日最後の上総中野行きの下り急行が通過する。踏切が鳴りはじめると、小谷松駅方から重みのあるエンジンの音が聞こえてくる。


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(東総元駅に向かう急行105D“急行3号”。この日最後の全線通し運転の下り急行だ)



これは逆にあと0.01秒シャッターを切るのが遅かったら、とんでもない仕上がりになっていただろう。そして次の列車はこの急行105Dの折り返しである急行106D“急行4号”だ。この列車を撮影するべく急行104Dを撮る予定だったポイントに場所を変える。ここから先は時計とのにらめっこだ。そして急行106D“急行4号”が東総元駅を出発した15時19分ごろ、西間踏切の警報機が鳴りだし、その数十秒後に撮影ポイント近くの勝浦街道踏切の警報機も鳴りはじめる。遠くからキハ28が先頭の急行106D“急行4号”が姿を見せる。スピードはそれほど出ていないので、ファインダーをのぞきながら慎重にシャッターを切るタイミングを見極める。そして撮れた写真はこんな感じだった。


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(本日最後の上り全線通し運転急行となる、急行106D“急行4号”)



ほぼ思い通りの絵が描けたような感じだ。思えば、急行104Dのときは曇り気味で小雨もぱらついていたが、時間の経過とともに雨雲は去り、この日で一番の空模様だった。そんなことも考えると急行104Dの撮りこぼしは決してマイナス材料ではなかったようなすがすがしい気分になった。この列車を撮り終えたところで、この日の撮影はひとまず終了。時刻表をみると、小谷松駅に次の上り列車が来るのは16時56分の普通68Dまでない。この列車まで待つと、大多喜駅のグッズショップの営業時間に間に合わないことが判明。いすみ鉄道のグッズショップは大多喜・国吉・大原の各駅にあるのだが、いずれも営業時間は17時までだ。せめて土曜・日曜ぐらいは18時30分ごろまで営業していてもらえると有難いところだ。列車での移動を諦め、勝浦街道にある「部田」という小湊バスの停留所があったので、ここのバスの通過予定時刻を見てみる。すると15時50分に大多喜方面行きのバスが来ることが判明。どんなに時間がかかっても16時30分までには大多喜駅に着くだろうと読んでこのバスに乗って大多喜駅まで向かった。そしてグッズショップでいすみ鉄道のグッズを何点か購入する。どれも値段は市中相場よりも若干高めなのだが、これには訳がある。それは、前の章でもご紹介したいすみ鉄道ホームページ内にある、鳥塚社長のブログを読んでいただければわかるので、ここでの説明は割愛させていただきます。





グッズを購入したあとは、大多喜の街を散歩しながら、少し早目の夕食も済ませる。何分、昼食がコッペパンだけではやはりすぐにお腹が空いてしまうのが本音。夕食を済ませた後は徒歩で城見ヶ丘駅に向かい、本日の締めくくりの写真を撮った。


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(もう少し綺麗に流れれば良かったのだが・・・)



この列車の撮影をもって、今回のいすみ鉄道の撮り鉄行は無事終了。最後はもう乗れるチャンスはないだろうと半ば諦めかけていたいすみ200型2連による普通70D列車で大原に向かい、大原から20時20分発のこれも本日最後の上り外房特急「わかしお30号」で帰路についた。


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(きょう1日お世話になりました!!)

いすみ鉄道撮り鉄日記(4)~撮り鉄本番編<その2> [撮り鉄日記(首都圏私鉄)]

急行101D列車の折り返しである、普通102D列車で撮影ポイントを見極める。本数の多さ(というほどのものではないが・・・)から考えれば、大原~大多喜間で狙うのが効率的で、いろいろな写真が撮れるところだが、この区間はFaceBookの「いすみ鉄道公式ファンページ」という名のページで色々と紹介されており、多くの撮り鉄さん達で混み合うことは容易に想像つくところだ。



そこで、今回のダイヤ改正でキハ52+28が初入線となる大多喜~上総中野間に絞り込むことにした。車窓に流れる風景をよく見ながら、撮影ポイントは小谷松(こやまつ)駅付近とすることに決めた。ここまで決まればあとは行動あるのみ。普通102D列車の折り返しである普通103D列車に乗り込み、大多喜から一駅先の小谷松駅に向かうことに。小谷松駅から歩くこと10分あまり、最初の撮影ポイントでゲットできたのはこの列車だ。


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(いすみ350型<=手前>といすみ300型の2両編成による普通61D・上総中野行き)



ところで、前の記事の最後で「とんでもない失態を犯してしまった・・・」と記したが、それはこの列車の撮影前に起きた。時刻表上では小谷松駅に先にやってくるのは、大多喜から小谷松駅まで乗車した普通103Dの折り返しである急行104D“急行2号”だった。そのための撮影ポイントも予習しておいた。ところが、私はいすみ350型が先頭でやってくる普通61Dの方の撮影に気をとらわれてしまい、すっかり“急行2号”のことは忘れてしまっていた。気が付いたときは時すでに遅し・・・。近くの踏切は警報機が鳴りだし遮断機も降りはじめ、急行104D“急行2号”ははるか遠くより姿を見せ始めていた。急いで、撮影ポイント近くまで向かい、カメラを構えたが、露出補正が間に合わず、「撮りこぼし」となってしまった[もうやだ~(悲しい顔)]。つまり、先に来る列車がどちらなのかをわかっていながら、時計を見忘れたがために招いてしまったイージーミス。このミスは次の急行106D“急行4号”で挽回するしかない。それまでの間にやってくる列車はすべてこの付近で撮ることにした。



気を取り直し、普通61D列車を撮り終えた後は、田園地帯の中を東総元駅方向に歩きながら撮影ポイントを探していく。15分ほど歩いたところで「西間踏切」という小さな踏切を見つける。ここは上総中野方が緩い右カーブとなっており、その外側からカメラを構えれば上り列車が少し迫力気味に撮れるのでは?と推察する。直近でやってくるのは先ほど撮影した普通61Dの折り返しである普通62D。この列車をターゲットとしてカメラを構える。警報機と遮断機の間にあるわずかな隙間を利用してカメラのレンズを合せる。そして撮れた写真はこんな感じだった。


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(東総元駅から小谷松駅に向かう普通62D・大原行き)



まあまあ、狙い通りの写真が撮れた。次にやってくるのは下り普通63D。約10分後に通過予定だ。この列車は違った角度から撮影しようと考え、上り62Dを撮ったポイントとは別のポイントで撮ることにした。西間踏切を渡り、線路沿いに並走する勝浦街道にでて約10分後、下り普通63Dはいすみ300型単行による列車だった。


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(小谷松駅から東総元駅に向かう、下り普通63D・上総中野行き)



ところで、今回、いすみ鉄道を撮り鉄に選んだ理由はキハ52+28の“観光急行”の撮影もそのひとつなのだが、他にもうひとつ理由があった。それは下り61Dの先頭に立っていた「いすみ350型」を生で見る、撮ることだった。

いすみ鉄道は開業以来使用し続けてきた「いすみ200型」の後継車両を5両の新製気動車で置き換えることになった。

「いすみ200型」は富士重工が開発した15m級の「LE-Carシリーズ」と呼ばれるレールバスで、最盛期には岐阜県の樽見鉄道や兵庫県の三木鉄道、北条鉄道をはじめとする国鉄・JR転換三セク鉄道の多くで見ることができた。首都圏でも足尾線から転換したわたらせ渓谷鐡道や真岡線を転換した真岡鐡道で見ることができた。いすみ鉄道にはこの「LE-Carシリーズ」が7両配置され、「いすみ200型」と命名され活躍してきた。

だが、いすみ200型も誕生から20年以上が経過し、そろそろ置き換え時期となってきた。そして置き換え用として最初に投入されたのが「いすみ300型」だ。これは新潟トランシス製の18m級の軽快気動車で、標準車体を採用することでコストの軽減化が図れるという利点が特徴だ。

だが、鳥塚社長はこのやり方というか考え方に納得がいかなかったのだろう。「いすみ300型」は2両が投入され、続いて3両目も投入される予定だったが、ここで鳥塚社長は「次の車両は国鉄型気動車と調和のとれるデザインの車両を」と新潟トランシス側に注文を付けたのだ。最初は「無理、無理!」と首を縦に振らなかった新潟トランシス側であるが研究を重ねて鳥塚社長のリクエストに応えられる車両が作れる目途が立った。そして製作されたのが「いすみ350型」である。この経緯の更なる詳細についてはいすみ鉄道のホームページ内にある鳥塚社長のブログにびっしりと記されているので(7両の気動車を5両の気動車で置き換えた根拠も書かれていますよ)、そちらも読んでいただくとして、妻断面と窓形状それに塗装を除けば、「キハ52とうり二つ」といっても過言ではないこの車両の出現に私の身体は全身に電気が走るような思いをしたのだ。







さて、撮り鉄も佳境に入り、いよいよ先ほど撮りこぼしてしまったキハ52+28の“観光急行”が小谷松付近を通過する時刻も近づいてきた。その様子は次の章で・・・。



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いすみ鉄道撮り鉄日記(3)~撮り鉄本番編<その1> [撮り鉄日記(首都圏私鉄)]

小湊鉄道キハ200型と桜のコラボレーションを撮り終えた後は、折り返しまでのわずかな時間でキハ52とキハ28をいろいろな角度から撮ってみることにする。まずはキハ52から。


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(上総中野駅で折り返し待ちのキハ52型)



キハ52型は、近郊型気動車として大量に増備されたキハ20型と同車体の車両で急こう配が多い山岳路線での運行を可能とするために作られており、見た目こそキハ20型とまったく同じなのだが、足回りに決定的な違いがあり、キハ20型がディーゼルエンジン1台搭載なのに対し、キハ52型は2台搭載となっている。続いてはキハ28型を。


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(上総中野駅で折り返し待ちのキハ28型。右側の手の込んだデザインのベンダーにも注目だ)



キハ28型は準急型気動車として製造されたキハ26型の後継型である。こちらも同型車体でエンジンの搭載台数の違いによりキハ58型という兄弟形式がいた(キハ28型がディーゼルエンジン1台搭載、キハ58型が2台搭載だ)。キハ28型同士の連結運転も可能ではあるが、2両編成でエンジン2台では心細いので、通常は2台搭載のキハ58とペアを組んで運転されることが多かった。ちなみにいすみ鉄道ではキハ52とペアを組んでいるが、どちらも50年くらい前の製造当初よりそのようなことも想定されており、国鉄時代には長野県の小海線や飯山線、岩手県の花輪線などでこのようなペアを見ることができた。というわけで、いすみ鉄道入りに当たってはどちらも特別大きな改造もすることなく入線している。



さて、城見ヶ丘駅付近での倒木の影響で若干遅れて上総中野に到着した下り101D“急行1号”だが、折り返しは上り102D普通・大多喜行きとなる。所定では10時45分発だが、この日に限り5分遅れの10時50分発となった。終点の大多喜駅で、上り58D普通・大原行きと接続するのだが、接続時間が若干短くなるだけで、その後の列車ダイヤに影響はないことが時刻表から判明する。そして10時50分に上総中野を出発。どの駅も5分遅れでの到着となる。大多喜には11時12分頃に到着した。


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(大多喜駅に到着した上り普通102D)



大多喜では、上り普通58D・大原行きと接続する。所定時刻でいけば接続時間は14分あるのだが、この日は102Dが5分遅れだったので、接続時間は9分に縮められる。それでも乗り継ぎには十分ゆとりがある時間だ。上り普通58D・大原ゆきはいすみ鉄道の最新鋭車両による2両編成だった。


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(いすみ350型<=手前>といすみ300型の2両編成による上り普通58D・大原ゆき)

11時21分定刻に上り普通58Dが大原に向けて出発していった。その後、上り普通102D列車は一度、城見ヶ丘方に引き上げ、下りホームに入線し直す。列車番号は下り普通103Dに変わる。


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(下りホームに入線し直し、発車を待つ下り普通103D・上総中野行き)



下り普通・103Dは上総中野に到着後、上り急行104D“急行2号”として折り返してくる。ところが、この先で私はとんでもない失態を犯してしまい・・・(><;)。続きは次回記事で。念のためのお断りですが、法律に抵触するような失態ではありませんので・・・。




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いすみ鉄道撮り鉄日記(2)~急行1号で上総中野へ!編 [撮り鉄日記(首都圏私鉄)]

さて、キハ52の単行からキハ28との2両連結にパワーアップしたいすみ鉄道の“観光急行”だが、大原駅では思わぬ珍現象をみることから始まった。

もともとはJR木原線という廃止の危機にさらされていたローカル線を第三セクターで引き継ぐことで開業したいすみ鉄道は、三セク転換時にホームを新たに作ったのだが、そのサイズは15m級のレールバス・いすみ200型が2両連結でいっぱいになるくらいのこじんまりとしたホームで、まさか20m車の運転が復活するとは考えていなかったのだろう。キハ52+28の2両編成ではホームに編成全部が入ることができず、上総中野方のキハ52は半分も入れない状態。それではどうやって客扱いをするのだろうか。答えは非常コックを使用して、キハ28のみを開扉状態として客扱いをするのだ。都市鉄道では考えられない光景が見られるのもローカル線ならではといったところだろう。私はキハ28から乗り込み、全座席自由席のキハ52の方に入る。キハ28は一部が指定席となっている。そして車内に入ると目に入ったものは・・・!?

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(キハ52の吊り広告。なんと国鉄の文字が・・・)



キハ52は近郊型気動車に分類されるので、キハ28とは異なり、天井に吊り広告のスペースがある。鳥塚社長はそれを利用し、なんとご自身のコレクションである、国鉄時代の吊り広告を掲出しているのだ。普通に考えればここには直近に発売される週刊誌の見出し広告などが掲出されるところだが、この列車にその理論は通用しない。「昭和の汽車旅の再現」がコンセプトなので、こういう目につくところにも昭和時代の雰囲気を出さないとダメなのだ。手作りのヘッドマークや、この吊り広告に鳥塚社長の「拘り」の深さが読み取れてくる。



さて、大原を出た列車は10分ほどで最初の停車駅・上総東に到着する。1分弱で客扱いを終了させ、出発。次の停車駅は国吉だ。国吉駅には9時37分ごろに到着。ここで上り列車と交換するため、9分ほど停車する。


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(国吉駅で交換待ちのキハ52+28の“急行1号”)


上り56D列車と交換し、9時46分に国吉駅を出発。次の停車駅は城見ヶ丘駅だが、この間でちょっとしたアクシデントが発生する。まず上総中川駅を通過したところで緊急停車する。昨日の強風の影響なのか倒木が発見され、緊急停車したのだ。幸いにも機関士の発見が早かったため、車両が倒木に乗り上げるということもなかった。2号車のキハ28にいた鳥塚社長と男性社員それに機関士の3人で倒木を線路わきによけて、5分ほどの遅れで運転が再開された。しかし、運転が再開されたと思ったら再度緊急停車。今度は何事かと思うと、城見ヶ丘駅手前の踏切で遮断機が下りっぱなしになっていることに苛立った沿線住民が無理やり踏切を渡ろうとしたのだ。急いでいたのかも知れないがこれは絶対に危険!決して真似をしないでほしい。

こうして大幅に遅れてしまった“急行1号”は城見ヶ丘駅に停車したものの、客扱いは30秒足らず。もっとも降りる客もいなければ乗る客もいなかったからだ。

こうして大多喜駅には7分ほどの遅れをもって到着。すぐに出発する。“急行”としての運転区間は大多喜までで、ここから先、終点・上総中野までは普通列車となる。大多喜まで一部指定席であったキハ28は大多喜からは全座席が自由席となる。小谷松、東総元・・・と停車していき、10時30分ごろに終点・上総中野に到着する。


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(上総中野駅。クラシックな木造駅舎に国鉄カラーのディーゼルカー。まさに昭和時代そのものを思い起こさせる光景だ。 ※プライバシーに配慮して画像の一部を加工しています。ご了承ください



上総中野駅では早速この車両も撮影する。


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(小湊鉄道キハ200型。いすみ鉄道101Dからの乗り換え客を拾って出発する)



上総中野駅では、小湊線の方ではあるが半ばあきらめかけていた桜が綺麗に咲いていたので、迷うことなく小湊鉄道のキハ200型とのコラボレーションを試みた。


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(桜の木を横目に五井に向かう小湊鉄道キハ200型。今年の桜とのコラボレーションはこれで決まりだ)


自分で言うのも何だが、ここまでバランスよく撮れるとは・・・!これで一気に弾みが付き、撮り鉄の本番がいよいよ始まる。


いすみ鉄道撮り鉄日記(1)~急行1号、お出迎え編 [撮り鉄日記(首都圏私鉄)]

毎年、この時期になると桜と鉄道のコラボレーションを撮る計画を立てて実行するのが私の楽しみの一つ。



昨年はターゲットがなかなか決められず、ギリギリのところで我が地元を走る西武線の写真を撮ってアップした。そういう苦い昨年の経験から、今年は早い段階からアンテナを張って決めることにした。



特に意識してアンテナを張っていたわけではないのだが、2月の中旬、毎月購読している「鉄道ダイヤ情報」をぱらぱらとめくると、いすみ鉄道の新車の情報が出ており、それを見た瞬間、全身に電気が走るような思いをした。それがこの車両だ。


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(大多喜駅に停車中のいすみ鉄道の最新型車両・いすみ350型)



その車両はいすみ鉄道の最新型車両である「いすみ350型」。その登場の経緯については後述するとして、いすみ鉄道といえば鳥塚亮社長の肝いりプロジェクトである「国鉄型ディーゼルカーによる昭和の汽車旅の再現」ですっかりレールマニアの間では話題になっていることでも有名だ。JR西日本から購入したキハ52型による観光急行を大原~大多喜間で一昨年から運転を始めているが、今年からはもう1両、同じくJR西日本から購入したキハ28型というキハ52型にとっては最高の相棒を迎えたことにより、輸送力を中心にパワーアップされ、その力を活かして運転区間も大原から上総中野までの全区間に拡大されることになった。



というわけで、この春の桜と鉄道のコラボレーションのターゲットはいすみ鉄道で決定。あとは日取りを決めるだけ。例年の千葉県をはじめとする首都圏の桜は3月下旬から4月中旬まで楽しめるものだが、今年はどういうわけか、3月中旬に東京で開花宣言があり、そこから2~3日で首都圏のほぼ全域で開花宣言があり、3月の終わりを待つことなく、満開となってしまった[ふらふら]



予定では4月の最初の日曜日に行く計画をたてていたが、このとおり例年よりも大幅に早く桜が満開となってしまい、予定通りの日程でいけば桜はほとんど散って葉桜になっていることは確実だ。でもたとえ桜の花がなくとも、いすみ鉄道にはそれを補うだけの魅力がある。というわけで、あきらめずに予定どおり4月の最初の日曜日に行くことに決めた。

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(きょう一日お世話になります!)



4月7日、東京から外房特急“わかしお1号”で、大原に向かう。ちょうど前日は台風並みの猛烈な強風が吹き荒れ、この日もこのわかしお号は通常運転するかそれとも運休か非常に心配になったが、東京駅に近づくにつれ、その心配は次第に薄らいでいった。房総特急には車内販売がないので車内で食べるためのサンドイッチを購入し、乗り場である京葉線ホームに向かう。およそ1時間30分で大原に到着。風は強かったが、雨は上がっており、まずはホッとした。

一度、JRの改札を出て、いすみ鉄道の乗り場に向かう。すると、すぐに折り返し下り普通57D列車となる上り普通54D列車が進入する。


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(下り57D列車として出発待ちのいすみ200型。いすみ鉄道誕生時から活躍を続けている最古参形式だ)



この下り57D列車が出発する直前に今回のお目当てであるキハ52+キハ28の2両編成が上り快速100D列車として入線する。折り返しは下り101D“急行1号”だ。この日は日曜日だったので、ヘッドマークはどちらも「そと房」であった(ちなみに、土曜日だとキハ52のほうのヘッドマークが“夷隅”<=いすみ>となる)。まずは撮影地を選定するため上総中野までの全区間をこの列車に乗ることにする。


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(キハ52を正面から。ヘッドマークは鳥塚社長の手作りだ)

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